電気工事業で建設業許可 3つのポイント

電気工事業で建設業許可

500万円(消費税込)以上の『電気工事』を請負うためには『電気工事業』の建設業許可が必要です!

『電気工事業』は『建設業法』の他にも『電気工事業法』や『電気工事士法』等、他の法令の規定も遵守する必要があり、建設業許可の29業種の中でもやや特殊な業種といえると思います。

注意! 『電気工事業』を営む場合、『都道府県知事』又は『経済産業大臣』への『電気工事業登録』が必要です!(電気工事業の業務の適正化に関する法律(昭和四十五年五月二十三日法律第九十六号) 第3条)

では、電気工事業で建設業許可を取得する際のポイントを3つ見ていきたいと思います。

ポイント1.『電気工事』の種類とは?

建設業許可における『電気工事』とは次のように定義されています。(参考:「建設業許可事務ガイドライン」)

電気工事の定義
発電設備、変電設備、送配電設備、構内電気設備等を設置 する工事

では次に具体的にどのような工事が『電気工事』に該当するのかをご確認ください。

電気工事の例示
発電設備工事、送配電線工事、引込線工事、変電設備工事、構内電気設備(非常用電気設備を含む。)工事、照明設備工事、電車線工事、信号設備工事、ネオン装置工事、ソーラーパネル(太陽光発電)工事、など

ポイント2.『ケイカン(経営業務の管理責任者)』要件を満たすこと

『ケイカン』は建設業許可取得に必須の要件ですが、『電気工事業』の場合は『電気工事業登録』がされた時以降でないと『経営経験』とはみなさない許可行政庁(都道府県や地方整備局)があります。要するに他の法令(この場合『電気工事業法』)も遵守しているか、を確認されるということです。(この場合『電気工事業登録証』の写しを提出して証明します。)

もし『電気工事業登録』がされていなければ、いつまでたっても『経営経験』が積めないことになりかねません。場合によっては『センギ』としての『実務経験』も積めないかもしれません。くれぐれもご注意ください。

なお、次の要件のいずれかを満たせば『ケイカン』になることができます。

ケイカンの要件
1.『電気工事業』を営む会社で役員(取締役)として5年以上の経験がある
2.『電気工事業』以外の工事業(業種)を営む会社で役員(取締役)として6以上の経験がある
3.『電気工事業』を営む個人事業主として5年以上の経験がある
4.『電気工事業』以外の工事業(業種)を営む個人事業主として6年以上の経験がある
5.『電気工事業』を営む会社又は個人事業主の元で6年以上の経営補佐経験がある
上記の経験(経営管理経験と言います。)はいずれも建設業許可を持っていない事業者の元での経験で構いません。建設業許可を取得するためには、原則として申請者の役員のうちの一人(または個人事業主本人)が上記の『ケイカン』要件のいずれかを満たし、その者が『主たる営業所』に『常勤』している必要があります。(『経営業務の管理責任者』要件について詳しくは→こちらをご参考ください。

ポイント3.『センギ(専任技術者)』要件を満たすこと

なお、次の要件1~3のいずれかを満たせば『センギ』になることができます。

1.対応する『資格』を持っている

電気工事業の対応資格
1級電気工事施工管理技士
・2級電気工事施工管理技士
技術士『建設・総合技術監理(建設)』
技術士『建設「鋼構造及びコンクリート」・総合技術監理(建設「鋼構造及びコンクリート」』
技術士『電気電子・総合技術監理(電気電子)』
・第1種電気工事士
・第2種電気工事士(+実務経験3年)
・電気主任技術者『第1種~第3種』(+実務経験5年)
・建築設備士(+実務経験1年)
・1級計装士(+実務経験1年)
・登録電気工事基幹技能者

※「 」は『特定』建設業の専任技術者(及び『監理技術者』)となりうる国家資格です。
※(+実務経験○年)の記載がある資格は合格後や免状取得後に規定の実務経験期間がないと『センギ』となれない資格です。

2.『指定学科』を卒業し、かつ、一定の『実務経験』がある

電気工事業に関する『指定学科』は次のとおりです。

電気工事業の指定学科
電気工学、電気通信工学

卒業後に必要となる『実務経験』期間は次のとおりです。

卒業後に必要な実務経験期間
高校もしくは中等教育学卒業の場合、卒業後5年以上の実務経験
大学・高等専門学校卒業の場合、卒業後3年以上の実務経験

3.10年以上の『実務経験』がある

『電気工事業』にかかる建設工事の実務経験が10年以上あれば、『センギ』の要件を満たせます。

なお『特定』建設業許可を取得するためには『電気工事業』は『指定建設業』であるため、「実務経験のみ」では取得できません。しかも上記の一覧のとおり『電気工事士』免状だけでは『特定』の資格要件は満たせません。『1級電気工事施工管理技士』もしくは『技術士』しか対応する資格がないのでご注意ください。

指定建設業
施行技術の総合性、施行技術の普及状況、その他の事情等を勘案して定められた業種で、現在、次の7業種が定められています。(令第5条の2) 土木工事業、建築工事業、電気工事業、管工事業、鋼構造物工事業、舗装工事業、造園工事業

建設業許可を取得するためには、上記の要件のいずれかを満たす『センギ』が『営業所ごと』に『常勤』している必要があります。(専任技術者要件について詳しくは→こちらをご参考ください。

なお、上記の実務経験は建設業許可を持たない事業者の元での経験でも構いません。

まとめ

以上が『電気工事業』で建設業許可を取得するための3つのポイントです。これから『電気工事業』で建設業許可取得をお考えならご参考にしてください。

特筆すべきは、『電気工事士法』の規定により、一部の例外工事を除いて『電気工事士』でなければ『電気工事』は施工できない、ということです。

上記の資格一覧のとおり『センギ』要件を満たすだけなら、理論上『電気工事士』がいなくても建設業許可取得は可能ですが、実際に自社で工事を施工するためには必ず『電気工事士』の配置が必要、というのが『電気工事業』の特徴といえます。

なお、建設業許可を取得するためには、上記以外にも『欠格要件に該当しない』ことや『資産要件(500万円以上の預金があるか?)を満たしている』こと等の他の要件全てクリアする必要があります。(『建設業許可要件』について詳しくは→こちらをご参考ください。

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